山笑う天空の森
天空の森に春が来た
翁草の蕾がふくらんで小さく可憐な美しい花を咲かせた
野菜畑の水菜もえんどう豆も葱坊主も美しい色を重ね
山も笑うように風が吹き、鳥も蝶も喜びうかれ乱舞する
すべてのものに新しい息吹が吹き込まれる季節
・・・・・・なのに、今日も雨・・・・・
しとしとと降り続く春雨を避けるように
BOSSがレストランで新聞を広げている
まだ薪ストーブのぬくもりに優しさを覚えるように…
なんて静かな時の流れか…と、思いきや!
突然、BOSSがすっくと立ち上がり何やらキョロキョロと探しているようだ
「おい!こっち来て見ろ~!!すごいぞ」
何かを見つけたらしいが「??」私には見えない
「ここに耳をあててみろ」
「コチコチ カジカジ・・・」
メニュースタンドの中から 時計のような音がかすかに聞こえる
「虫だよ、虫が木の中にいるんだよ」とBOSSが言う
「こんなに小さな音が良く聞こえましたね!」と 感心すると
「あったりまえだ~!」と野性の勘のすごさを自慢する
天空の森の木を切って作ったスタンドの中で
外に出る日を 今か今かと待ちわびている小さな小さな虫
きっと この雨が上がるころにはよりいっそう春になる
天空の野菜畑が一段と高い香りを放つとき この虫たちも誘い出そう
西の空が明るくなった頃 BOSSは自家用バイクにまたがって新しい家を見に行った
こんどは何を探してくるのかしら?天空の春が始まった
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